現代文で意識するポイント【2つのプロセスから考察】

受験生と現代文についてお話したことがありますが、多くの方が現代文の勉強法を確立できていないように思えます。
また、「現代文は伸びづらい」「現代文はセンスだ!」という言葉をよく耳にします。

ですが、「伸びづらい」ということは「地道にやれば伸びないことはない」とも言えますよね。「現代文はセンス」と言われますが、できる方とできない方の双方をよく観察すれば、明確な違いが見つけ出せそうで、そこにヒントがありそうです。

そこで、以前家庭教師をしていた私が、現代文の勉強法について解説していきます。この記事を見て現代文の勉強法を確立してもらえると嬉しいです。

前提
  • 筆者はセンター試験と東大入試の経験に基づいて説明しています。どちらの入試の現代文もオーソドックスな出題形式ですが、多少考えに偏りがあるかもしれません。ご了承ください。
  • 現代文とは「文章に書いてあることを中心に傍線部について説明する(適切に読み取れていることを示す)」科目です。決して「自分の考えを述べる」科目ではありません。(このような考えのもと説明をしているという認識でお願いします。)

現代文を解くプロセスを「問題文を読む」「解答を組み立てる」の2つに分けて考察をし、その上で必要な勉強法を示します。

問題文を読む

このプロセスに必要な能力は以下の3つだと考えております。

現代文を読むのに必要な能力
  1. 教養(「①物事の概念」の理解)
  2. 論理的思考力(①の「②結合規則」の理解)
  3. 言語力(①②を表す言語( =「③信号」)の理解)

図にするとこんな感じになります。

現代文で意識するポイント【2つのプロセスから考察】

つまり、教養や論理的思考力、言語力を身につける必要があります。
具体的には以下のことを毎日行います。

毎日やること
  • わからない事柄や言語をすぐにスマホで調べる(教養、言語力)
  • 本をたくさん読む(教養、言語力)
  • 普段から物事の因果関係を意識する(論理的思考力)

つまり、本当に地道な努力が必要です。これが「現代文は伸びづらい」と言われる所以です。

ただ、一定以上の教養や論理的思考力、言語力があれば、入試問題の文章を適切に読み取ることは可能です。なぜでしょうか?

例えばこの問題。りんごを見たことがなくても、りんごという日本語を知らなくても答えを出せるということがわかりますか?

例題1

太郎くんは朝ごはんに腐ったりんごを食べた。
そのあと2度寝をし、公園に遊びに出かけた。
公園で遊んでいたら急にお腹が痛くなった

Q.傍線部「お腹が痛くなった」理由を答えなさい。
A.太郎くんが朝ごはんに腐ったりんごを食べたから。

以下のように、前後の文脈から最低限の特徴さえ把握できれば解答可能です。すなわち、教養や言語力が多少不足していても問題文を読むことはできますよね。

例題1

人物食事中に腐った食べ物を食べた。
そのあと腹痛の原因でない行為Aをし、ある場所腹痛の原因でない行為Bをしに出かけた。
ある場所腹痛の原因でない行為Bをしていたら急にお腹が痛くなった

Q.傍線部「お腹が痛くなった」理由を答えなさい。
A. 人物食事中に腐った食べ物を食べたから。

つまり、「前後の文脈から最低限の特徴が把握できる」だけの教養や論理的思考力、言語力を身につければ、それで十分ということがわかります。

解答を組み立てる

解答を組み立てるプロセスは、以下の2つに分解できます。

解答を組み立てるプロセス
  1. 文章中から傍線部の解答根拠を見つけ出す
  2. 解答根拠を適切につなぎ合わせて、問いに答える

文章中から傍線部の解答根拠を見つけ出す

まず①について。
まずは段落の構成を把握し、設問ごとに解答根拠を拾ってこれそうな段落を選ぶこと。これが大切です。(全ての設問で全ての段落を検討していては時間が足りなくなるため。)

最初に、以下の図を例に説明します。
本論であれば、段落4の傍線部の解答根拠は段落3・5にある可能性が高いです。文章は意味的に連続していることが多く、突拍子もない文章が続くことは少ないですから。(あくまで1つの例です。)

段落4の傍線部の解答根拠は段落3・5にある

次に、以下の図で説明します。
結論の傍線部の説明であれば結論の段落を中心に序論・本論(つまり全段落)が解答根拠になり得ます。序論・本論あっての結論ですから、最後の本論4だけを取り出して解答を作成するのは無理がある場合が多いです。(こちらもあくまで1つの例です。)

結論の傍線部の説明であれば結論の段落を中心に序論・本論(つまり全段落)が解答根拠になり得ます

段落(解答根拠になりそうなブロック)を選んだら、その中から解答根拠になりそうな箇所を見つけ出します。

解答根拠を適切につなぎ合わせて、問いに答える

次に②について。
以下の文章を例に考えます。

例題2

⑤太郎くんは女の子に告白された。これで今月10回目である。
⑥それもそうだ。太郎くんは鼻が高くて目が大きくてオシャレだもの。モテないわけがない
⑦そんな太郎くんに放課後話しかけてみた。頼みごとがあったからだ。
「太郎くん、僕がいつもやっているトイレ掃除を明日だけやってくれない?」
すると
「いいよ!次郎くん、いつもトイレ掃除お疲れ様!」
と、快く引き受けてくれた。この優しさも女子に人気がある所以だろう。

Q.次郎くんが傍線部「モテないわけがない」のように考える理由を簡潔に答えなさい。

傍線部の前に「だから」が省かれている点、第⑦段落で「女子に人気がある所以」と述べられている点から、この2つの段落が解答根拠を含む段落になりそうですね。
以下の赤色の部分が解答根拠になりそうな箇所です。「鼻が高くて…」の部分は具体的すぎるので抽象的(簡潔)に換言します。そしてつなぎ合わせます。

例題2

⑤太郎くんは女の子に告白された。これで今月10回目である。
⑥それもそうだ。太郎くんは鼻が高くて目が大きくてオシャレだもの。(だから)モテないわけがない
⑦そんな太郎くんに放課後話しかけてみた。頼みごとがあったからだ。
「太郎くん、僕がいつもやっているトイレ掃除を明日だけやってくれない?」
すると
「いいよ!次郎くん、いつもトイレ掃除お疲れ様!」
と、快く引き受けてくれた。この優しさ女子に人気がある所以だろう。

Q.次郎くんが傍線部「モテないわけがない」のように考える理由を簡潔に答えなさい。

ということで、解答は「太郎くんは容姿が優れ、かつ優しいから。」という風になります。

まとめ

以下の2つが現代文を解くのに必要な能力です。

現代文を解くのに必要な能力
  1. 国語力(問題文を読む)
  2. 解答作成能力(解答を組み立てる)
  1. については日々の努力の積み重ねになるものの、一定のラインまで到達すればそれ以上はあまり必要はなく、
  2. についてはここまでの説明を意識し、一定の訓練を積めば十分に身につくはずです。

「現代文は伸びづらい」と言われますが、最低限の教養・論理的思考力・言語力を身に付けた上で解答を組み立てる訓練を積めば点数はきちんと伸びます。
「現代文はセンス」と言わず、どのようにすれば現代文が伸びるかを考え、地道に勉強してみましょう。

以上を踏まえた現代文のマニュアルを作りました

以上で説明したことが身につくマニュアルを作りました。
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