大学入試で小論文を必要とする方向けの記事です。
慶應や医学部、国公立後期日程で小論文を課されることが多いのですが、勉強法が今ひとつわかっていない方も多いと思われます。
そこで今回は、家庭教師である私が、小論文の勉強法について解説していきます。
私が受け持っている生徒様はこの記事の理論をよく理解して勉強しており、小論文の実力を短期間でしっかりと身につけることに成功しました。
この記事を読んで、小論文の勉強法を確立してもらえると嬉しいです。
小論文の考え方や勉強法は、現代文と似ている点が結構多いです。以前私が書いた現代文の記事を読んでもらえると、小論文の勉強がよりはかどるはずです。
目次
小論文で必要となる能力
小論文に必要な能力は何でしょうか?
ここで、以前に現代文の記事で紹介した「現代文を読むのに必要な能力」をもう一度掲載致します。
- 教養(「①物事の概念」の理解)
- 論理的思考力(①の「②結合規則」の理解)
- 言語力(①②を表す言語( =「③信号」)の理解)
現代文については①~③を読み取るだけで良いのですが、小論文は読み取るだけではなく運用までできるようにならなければなりません。
①~③をひとまとめにして「国語力」と呼ぶとすれば、「国語力を身につけ(理解)」「身につけた国語力を紙面上で表現でき(記述+暗記)」なければなりません。
上記で述べた「理解・記述・暗記」や上の図については関連記事を参考にするようお願いします。
次の章の勉強法の説明でも大切になる考え方です。
小論文の勉強法
前の章で小論文に必要な要素を述べました。この章では小論文で必要な要素を身につけるための勉強法を示します。
教材は過去問だけです
小論文で必要なのは、「国語力を身につけ」「身につけた国語力を紙面上で表現できる」ことなのですが、前者は過去問の問題文と模範解答を写経・音読すれば身につきますし、後者は過去問の問題文と模範解答を写経・音読して解説を熟読すれば身につきます。
なので、必要な教材は過去問だけです。
以下の③の段階まで行って、点数を伸ばすためにどうしても必要であれば教材を追加しても良いかもしれません。
①まずは小論文の問題文と模範解答の写経と音読を行いましょう
とにかく写経と音読を行うことで、国語力を身につけるとともに小論文でのテクニック的な部分も定着させます。
小論文のテクニック(起承転結を意識する、接続詞に気をつける、など)は言語化されていない細かいものまで含めればたくさんありまして、それを項目で覚え(て実行に移せるレベルまで引き上げ)るのはとても大変です。
なので、写経と音読により模範解答を型として身につけ、無意識に綺麗な解答が書けるようにします。
- 問題文は長いことが多いですし、スラスラ書けることの重要性も模範解答ほどは高くありません。なので、問題文については音読だけで済ませてしまっても良いかもしれません。
- 模範解答の別解があるのであれば、それも写経と音読を行いましょう。別解に取り組むことで、多様な考え方に触れることができ解答の幅が広がります。加えて、2つ以上の模範解答に取り組むことで、「その問題で確実に押さえなければいけないポイント」が見えてきます。
- 写経と音読は最低でも2回行うことをオススメします。1回目は書くことと読むことに意識が行ってしまい、細部にまで意識が回らないからです。2回目で細かい点も意識しましょう。
- 最初は2~3年分くらいに取り組めば大丈夫です。小論文の問題文と模範解答は長いことが多く、写経と音読を2回ずつ行うのでも一苦労かつ学びがとても多いからです。
②①で取り組んだ問題を、模範解答を見ずに解いてみましょう
小論文の解答は本当に多様なので、模範解答と同じものを書ける必要はありません。(当然、模範解答と同じような解答になっても構いません。)
ただ、過去問の解説で述べられている重要ポイントを押さえられているかはすごく重要で、その点をこの段階で確認します。
それらのポイントが押さえられていなければ、できるようになるまでやり直します。
③今まで解いたことのない過去問のセットで身についているかの検証を行います
採点基準は大雑把で構いません。私が家庭教師で指導している際は、以下の基準を用いています。
- 本文を踏まえたうえで、論旨を一貫して論点を深められているか(0点・15点・30点の3段階)
- 論点は明確で、根拠を適切に提示できているか。(0点・15点・30点の3段階)
- 段落構成は適切か(0点・15点・30点の3段階)
- 文字数(文字数の8~10割を埋められていれば10点、それ以外は0点)
- 主語述語、呼応の副詞など文法は適切か(1箇所につき2点減点)
- 漢字間違いの有無(1箇所につき1点減点)
※採点は基本的に○(満点)、△(半分)、×(ゼロ)の3段階。迷ったら1/4、3/4も導入します。
※採点官でも完璧な採点は難しいです。大まかな学力習熟度の傾向を把握することが目的なので、あまり考えすぎず素早く採点します。
そもそも上記の採点基準が正しいかわからない(というかかなり的外れかもしれない)ので、小論文に取り組んでいく過程で採点基準はどんどんアップデートしていく必要があります。
採点をすることで、自分の弱点を発見することができます。
①②をやり直すなどして小論文に必要な能力を身につけましょう。
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